フリーゲーム「月葬の城」「月葬の城+」

今月初め頃に活動を終了した「Sherica+」さんのゴシック・アドベンチャー・ノベルです。
公開された時からいつかやるぞと思い続けていたものの、色々あって今頃になってしまいました。
「月葬の城」がメインの短編で、「月葬の城+」がそのおまけシナリオです。
作者によると「乙女ゲーム」らしいですが、男性でも楽しめる人は楽しめると思います。
古き良き少女小説のような世界観が好きな方にオススメ。逆に、その手が苦手な人にとっては駄作でしょう。
私自身はというと、前々から「ああ、これは好きかもしれない」と感じていましたが、
まさかこんなに好みを直撃しているとは思わず、パソコンの前で悶えてしまいました。
ゲーム自体は製作サイトが消滅するまで配布しているそうなので、
興味を持った方はとりあえずダウンロードしておきましょう。サニーガールさんのレビューも参考にどうぞ。

以下、ネタバレ感想。無駄に長いですよ。

桃色が「月葬の城」、水色が「月葬の城+」の感想です。


■全体
 かなり短いお話ですが、すっきりまとまっていて良かったです。
 ただ、「フィアナはフィオーラのことも愛していた」というのが少し伝わりにくかったのが玉に瑕かと。
 (TRUE ENDの場合、ひたすらノエルごり押し→最後だけフィオーラという、矛盾気味のルートになってしまう)
 もう少し妹のことを信じてあげたり、愛する人と妹のどちらを信じたらいいか迷ったりする場面が合れば完璧でした。
 とはいえ、完成度はかなり高いです。登場人物、みんなみんな大好きだ!

 +はおまけシナリオなので、「月葬の城」が好きなら絶対やるべきだ、としか言えませんね。


■キャラクター
 ・フィアナ
   聖女でいるには、あまりにも優しすぎた人。ここまで悪い印象を抱けないキャラクターも珍しいです。
   彼女が出奔したことについて「無責任」と取るか、「そこまで苦しんだんだ」と取るかで、
   ゲーム自体の評価が変わってくるかも。もちろん私は後者です。
   ただでさえノエルへの愛情と聖女としての義務の間で揺れ動いていた上に、
   フィオーラの登場で、愛する人と妹の板挟みまで発生しただろうと思うと、彼女が可哀相で可哀相で。
   (二年前フィオーラがどのくらい本性を出していたかは推測することしかできませんが、
   ノエルやリュシータの態度から見るに、昔からあんな感じだったような気がします)
   城を出てからも、記憶を無くしてからも、心はずっと苦しんだまま。
   聖女を捨て「フィアナ」を取った自分、ノエルとフィオーラどちらかを選ぶことができない自分。
   そんな自分が許せなくて、遠い町で一人果てようとしたのかもしれません。
   だからこそTRUE ENDでのノエルの言葉が、どんなに救いになったことか。お幸せに。

   相変わらず聖女様です。本当「自分以外のことには良く気がつく」人です。
   でも、もう城を出ていくことは無いでしょうね。ちゃんと気持ちの整理がついているから。
   ただ優しかっただけの彼女も、あの事件を通して強くなれたのでしょうか。


 ・ノエル
   冷たい人に見せかけて優しい人、に見せかけて実はフィアナのことしか考えていない人。
   フィアナへの強い独占愛自体は、フィオーラと大して変わらないでしょう。
   ただフィオーラがどこまでも「子供」だったのに対し、ノエルはどこまでも「大人」だったというだけの話。
   ずっとずっと思いを胸の内に秘めていたまま、あの夜フィアナから告白され、
   だけど翌日彼女は何も言わずに去ってしまう。それでも自分の思いは口に出さず、
   「彼女は自分のことが嫌いだったんだ」と納得しようとする。うーん、かっこよすぎる。
   BAD END1の悲恋っぷりも好きですが、
   (BAD END2も彼が駆けつけた時の表情を考えると、フィオーラとは別の意味でわくわくする)
   何といってもやはりTRUE ENDラストのあの色気が素晴らしい。「心のままに」生きるとあんな感じなのね。
   「もう待てない」は昔のことも含めたセリフでしょう。ああもう、終始かっこいい奴だなちくしょう!

   フィアナ出奔直後の様子と言い馴れ初め話と言い、どんだけきゅんきゅんさせれば気が済むんだ!
   薔薇園での会話もちょっと意地悪で、フィオーラの言う通り「むっつりスケ(自主規制」でしたね。
   彼女がもう城を出ていくことは無いだろうと思いつつも、ついつい心配になって城門に兵士を置く辺りが彼らしいです。
   正式に城主になったのは、自らの出自に真っ直ぐ向き合えるようになったということでしょう。
   おそらくフィアナが何らかの切っ掛けを与えたんだろうな、このお似合いカップルめ。


 ・フィオーラ
   ある意味真主人公であり、フィアナ・ノエル・リュシータのそれぞれと対になる存在です。
   序盤で「ノエルを巡って姉妹がバトルする」と勘違いした人は多いに違いない。
   でもそうしなかったからこそ、ただの王道では無い、深い物語になったんだと思います。
   よくよく考えれば、小さい頃から「お姉様」の影がちらついているんだから、
   ノエルとの恋愛フラグを立てるような心の余裕はありませんね。
   そもそも、よく似た双子(瞳の色が違うので一卵性では無いみたいですが)の片方にだけ【印】をつける神様ってどうよ。
   彼女のお姉様に対する感情は、愛情と尊敬と嫉妬その他もろもろが入り混じって混沌としているんじゃないでしょうか。
   自分なんか足元にも及ばない尊きお姉様、でもどうして聖女は私ではなくお姉様なんだろう、
   聖女である上にもう全て揃っているなんて、そんなのずるすぎる……みたいな。
   そのカオスが導いた答えが「お姉様を自らの手で殺す」。確かに全部の感情が一気に満たされますね。
   あと、もう過去の地獄のような生活には戻りたくないという気持ちが、お姉様愛に拍車をかけているような気がします。
   バーンの「自分自身が聖女であるかのように振舞っている」という見方も、彼女の一面を上手く捉えていると思いました。
   何というか、「二人で一人の姉妹」みたいな感覚を持っている所があるよね、フィオーラは。
   当初「ノエルのことが好きじゃないなら、何でお姉様の後をついていかなかったんだろう」とも思いましたが、
   よくよくクライマックスを読み返すと、ちゃんと言っていましたね。
   要は「ノエルよりも自分の方が血のつながりがある分、離れていてもお姉様の愛を信じられる」ということを実感しつつ、
   恋敵?なノエルが苦しむ様を見て心の傷を癒そうとした、といった所?
   この頃はまだ「お姉様を殺す」という選択肢は無くて、
   ただ単にフィアナとノエルの仲を引き裂けば、それで満足だったのかも。
   まあ二年の間に、ノエルを観察するのにも飽きた→やっぱりお姉様を殺める方が良いわ、になる訳ですが。
   でも、実は心のどこかでフィアナとノエルの仲を応援しているんじゃないかな、と思ったのは自分だけでしょうか。
   そのことに気づいてしまうとお姉様が自分から離れてしまう気がして、認めないようにしているだけで。
   だからこそ、TRUE ENDのラスト、フィアナが「ノエルよりもフィオーラの方が好き」と言った言葉を、
   嘘だとは思いつつも信じ、その言葉を聞けたことに満足して、
   ノエルに二年前の真実を語って城を出ていったんじゃないかと。

   悪役としてのポジションを確立しちゃいましたね。いいぞーもっとやれー! ナイフを振り回し、たくましく生きるんだ!
   でも彼女の言う通り、もし小さい頃からフィアナと一緒に育ってたら、
   きっとフィオーラは少しワガママだけど良い子に育ったんだと思います。


 ・リュシータ
   一生懸命大好きな「姉」に真実を伝えようとしていた、健気な「妹」。
   思い返せば、真実の欠片を提供していたのはいつも彼女でした。
   まさか手紙を書いたのが彼女だったとは。でもよく考えたら、彼女以外にいないですよね。

   本編では今いち伝わってこなかったリュシータの魅力がたくさんつまっていました。かわいいなあ。
   あの手紙を書いた時の心情も描かれていて泣きそうに。
   どんな思いで「あの手紙は私が書きました」と告白したんだろうと考えると……。
   本当の妹であるフィオーラがちょっぴり羨ましいからこそ、彼女が許せないんでしょうね。
   確かにリュシータから見れば、フィオーラは「贅沢な人」で、
   「帰ってきてほしくはないが、死んでいればいいとも思えない」人。
   ノエルとの恋愛フラグが無いのは、彼を使えるべき主としてしか認識していないだけではなく、
   まだ子供だからでもあるんじゃないかと。本人もまだ気づいてないけれど実はノエルにほのかな恋心を抱いていて、
   だからフィアナとノエルが仲睦まじくしているのを見ると、ベストカップルだと思いつつも、
   どうしてか心の奥がちくちくと痛む……といったのを期待していたのですが。
   「もう一度執務室へ行く」がそれかと思ったら、バーンEND(でいいだろう、あれは)フラグでしたからね。
   彼女にはノエルのような忍ぶ恋タイプではなく、強引に引っ張っていくタイプがお似合いです。


 ・バーン
   一人だけ第三者の立場だった人。いや、「家族」担当だったというのはわかっているのですが、
   唯一フィオーラと対になっていないキャラクターだと思うので。物語自体にもあまり絡んでこなかったしね。
   でも、一緒にいるだけでほっとできる、素晴らしい侍従長でした。
   TRUE ENDのラスト、絶対あと少しの所で駆け込んできて、ノエルに睨まれるんだろうな。

   そして+ではギャグキャラに昇格。あの演出は良かった!

 ・上皇
   聖女に若い騎士を近づけるなよ、と言いたくもなりますが、妻や娘を不幸にしてしまった分、
   孫達には幸せになって欲しかったのでしょうね。年老いた男の最後の望み、といった所でしょうか。
   「妻を不幸にした」とは言うものの、それでも当時の自らの選択は、
   聖女を一人の女性として愛したという事実は、彼の誇りだったのだろうと思いました。


 ・ソロ
   ノエルと真逆な男性キャラ。いや、エロい所は似ているか?
   リュシータとは、ソロがリュシータをあの手この手でからかう(頭ぐりぐりとかもありそう)→リュシータ、いちいち反応
   →ソロ、その反応の仕方が可愛くて更にからかう……という、これまた王道カップルになりそう。だが、それが良い!
   んで、きっと彼女の誕生日とかには自作の銀細工を贈ってテレさせるんだぜ、このお似合いカップルめ。



愛ゆえに、思わずこんな長々と語ってしまいました。半分ぐらい妄想入っているし……お恥ずかしい限り。
でも、それだけこの作品が気に入ったという事が伝われば嬉しいです。
ここまで読んで下さった方、本当にお疲れ様でした。 そして、真にありがとうございました。

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